古訪ねる歴史旅
山城とは、飛鳥時代に九州や瀬戸内海沿岸の守りを固めるためにつくられたお城で、『日本書記』にも9つの山城の名前が記されています。屋嶋城もその一つ。山上駐車場から徒歩で向かいます。
今回は山上駐車場の売店でレンタルできる、「甦る屋嶋城」というアプリが入ったタブレットを事前に入手。実はこれ、実際の風景に重ね合わせて屋嶋城を画面上に再現してくれたり、体験や解説、クイズなどを楽しめたりするというすぐれもの。英語・北京語・広東語・韓国語の4言語に対応しているので、海外からのゲストを案内する時にもおすすめです。
山上駐車場の売店を過ぎて左に曲がり、「血の池」方面に沿って山道を5~10分ほど歩くと、こんな看板とポストがあります。
さらに5分ほど歩くと屋嶋城に到着!急に視界が開けて何だかワクワクします。屋嶋城は『日本書記』に書かれていたものの、その正体が分かったのは、実は最近のこと。平成10年に地元の平岡岩夫さんが石積みを発見したことで、高松市により発掘調査が始まったそうです。
その後平成14年に城門遺構が発見されたことで、ようやく城の存在が証明されました!階段を下りると、自然の地形を利用した屋嶋城は最長7mという城壁を誇る、国内最大級の規模の山城が再現されています。
城門の中央部にあるこの穴は、一体何でしょう?
敵を監視するのぞき穴?
正解は城門に集まった水を排水するための穴だそうです。排水溝の跡が残っている山城は、全国的に珍しいそうです。
再現された城壁には、香川県内各地から採取された石が使われましたが、こちらはもともとあった約1350年前の石!屋島の石は安山岩類で、少し赤味を帯びているのが特徴です。ぜひ探してみてください。太古からの時の流れを感じられますよ。
城門の上から見る高松市内。かつては海が広がっていて、ここで見張りをしていたんだと想像が膨らみます。
さらにクイズや見取り図など、コアな情報も満載。パンフレットとタブレットで、屋嶋城を2倍、3倍楽しみましょう。
続いては屋嶋城から遊歩道を山上駐車場方向へ歩いて屋島寺へ。10分ほどで見えてくる、赤い門が目印です。
門をくぐれば広々とした境内へ。たくさんのお堂や七福神などが祀られています。梵鐘(写真左)は平家供養のため鎌倉時代につくられたといわれ、重要文化財に指定されています。
源平合戦の古戦場として知られる屋島山上に、754年に建立された由緒ある寺院で、四国八十八ヶ所霊場第84番札所としても知られています。見どころは何といっても本堂。
屋根は入母屋造本瓦葺き、鎌倉時代後期に建てられたといわれ、昭和30年に重要文化財の建造物に指定されています。美しい装飾に思わず見とれてしまいます。
また屋島寺といえば狸が有名です。「太三郎狸」(たさぶろうたぬき)は、屋島に伝わる化け狸で、その昔霧の深い山中で迷った空海を、老人に化けて案内したと伝えられています。境内にある袁山大明神(屋島三郎狸)は、家庭円満や縁むすび、子宝授けの神様として、信仰されています。
古代からの時の流れを存分に感じられる屋嶋城と屋島寺。見ごたえ充分で、散策におすすめです。屋島山上からの瀬戸内海や高松の景色も必見ですよ。ぜひ訪ねてみてください。
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屋嶋城
住所 香川県高松市屋島東町
電話番号 087-823-2714(高松市埋蔵文化財センター)
入場無料
※車の場合、屋島山上駐車場の料金300円が必要
※タブレット端末は駐車場売店にて貸し出し(無料)
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屋島寺
(納経所)
営業時間 7:00-17:00
定休日 なし
(宝物館)
営業時間 9:00-17:00
定休日 不定休
住所 香川県高松市屋島東町1808
電話番号 087-841-9418
入館料 大人500円・中学生以下300円