古訪ねる歴史旅 高松市

古訪ねる歴史旅

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仏生山来迎院法然寺
高松市にある町・仏生山は、江戸時代には高松藩主・松平家の菩提寺である法然寺の門前町として栄えた町です。その法然寺に珍しい仏像・釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)があるとのことで、仏生山を訪ねました。

琴電高松築港駅から電車に乗って17分、琴電仏生山駅に到着します。仏生山駅から南東へ歩くことおよそ20分、法然寺に到着しました。
まず、法然寺の表門である総門をくぐると、一本の参道が黒門まで続きます。

左手に前池が見え、右手には十王堂(じゅうおうどう)が建っています。

黒門に着きました。今回は法然寺の前住職にお話を伺うことができました。

現在は京都で焼かれた瓦が葺かれていますが、元は理平(りへい)焼という瓦で葺かれていたのだそう。
理平焼は高松市で焼かれる陶器のことで、初代高松藩主・松平頼重(まつだいらよりしげ)公が京都の陶工・森島作兵衛(のちに理兵衛と改名)を招いて焼かせた焼き物がルーツとなっています。

柱・梁は墨を塗っていて、その名の通り黒いのが特徴。黒門を抜けると、阿弥陀様の世界といわれているそうです。

1207年、讃岐に流された浄土宗開祖の法然上人(ほうねんしょうにん)が、現在の香川県まんのう町にあった生福寺という寺に10ヶ月ほど滞在されました。

その後江戸時代に入り、1668年に初代高松藩主・松平頼重公が、生福寺を現在の仏生山の地に移し、法然寺と改名して再建したのが現在の法然寺です。当時、江戸幕府からの決まりで新しい寺を建てることは禁じられていました。このため、頼重公は寺を再建する、という方法をとったのだそう。

その後、法然寺は高松藩主松平家の菩提寺として、代々藩主やその親族が祀られる寺となりました。境内には丸みを帯びた独特な形のお墓が、今も残っています。
仏生山法然寺境内図を見せていただきました。
この世での浄土世界を表す寺として建築されたことが、この図からも伺えます。
ふたつの池の間からすっと伸びる一本の道、そして一番上の来迎堂(らいごうどう)への階段は浄土にいたる石段としてイメージされています。
釈迦涅槃像を参拝する前に、まずは来迎堂まで行ってみることにしました。

黒門からさらに進むと、次に待ち構えるのは仁王門。奥の来迎堂へ至る堂々とした門です。
口の形を「阿(あ)」・「吽(うん)」にした仁王像は、筋骨隆々で勇ましい表情。

仁王門をくぐると、まっすぐに伸びる参道が見えます。

まずは、階段の途中にある文殊楼(もんじゅろう)を目指します。
階段は結構険しいので苔に注意しながら登りました。

文殊楼を過ぎたら、階段上りももうひと頑張り。傾斜がゆるやかで登りやすい「女坂」もありますのでご安心を。

足が重たくなってきたところで、一番上の来迎堂に到達しました。

澄んだ空気の中、境内が一望できます。五重塔越しに望む前池と日山、青空が絶景です。
登ってきた石段を下りて、五重塔の前に帰ってきました。

仁王門を入ってすぐのところにある五重塔は、頼重公がかねてより建立を願っていたが生前にはかなわなかったもの。時を経て、平成23年(2011年)1月に一大プロジェクトとして現代の宮大工たちの手によって完成したもので、見ごたえもあります。

五重塔の横を通り、東にある本堂門の前に回って出てきました。
いよいよ釈迦涅槃像を参拝します。

正面が本堂。
右手の事務所で受け付けを済ませたあと、「嵯峨の立ち釈迦、讃岐の寝釈迦」といわれて有名な、釈迦涅槃像がある三仏堂(涅槃堂)内部を参拝しました。
※三仏堂の中は通常は撮影禁止です。今回、取材ということで特別に許可を頂きました。

案内に従って木の廊下を渡ります。

途中には歴代の法然寺住職の像が並んでおり、厳かな気持ちになります。

案内された三仏堂の中には、釈迦涅槃像を中心に、人物鳥獣52体がほぼ実物大で再現されています。

釈迦涅槃像の「涅槃」とは、お釈迦さまが亡くなったことを意味する言葉。三仏堂の釈迦涅槃像は、まさにこの亡くなった瞬間を表現したものなのです。

立体釈迦涅槃像群は非常に珍しいそうです。
中央の涅槃像はゆったりとくつろいだ感じにも見えます。右上で雲に乗った天女のように見えるのは、釈迦の母親、摩耶夫人(まやぶにん)。亡くなった釈迦にお別れを言いに来た、という様子なのだそう。

そして周囲を取り囲むお弟子さんなどは嘆き悲しむ表情をしており、臨場感ある圧巻の世界でした。


参拝を終えた後は、境内にあるうどん店「本格手打ちさぬきうどん 竜雲うどん」に寄り道することに。
仏生山は、かつて麺類の生産が盛んな町でした。その歴史を今に受け継いだのが「竜雲うどん」。

うどんの麺に使う小麦粉は、健康を考えて、さぬきの夢(香川県産小麦)にさらに石臼挽き小麦粉全粒粉をブレンドしたオリジナル。それを手間ひま惜しまず製麺し、コシが強くなめらかな麺に仕上げています。ざるうどんなどの麺はまるくこんもりと盛り付けられています。

おすすめは、讃岐うどんでは珍しい、「坦々つけうどん」。
出汁は伊吹島のいりこ、香川県の白みそを使ったごまだれ。
温泉卵を絡めて食べると、ラー油がアクセントになったマイルドな味わいになります。白ごはんを追加すれば、出汁まで全部味わえます。

お腹いっぱい食べた後はお店の前の園芸コーナーに立ち寄りました。
法然寺に併設の福祉施設で育てられた花々が販売されていて来訪者にも人気です。
法然寺のすぐ向かいには高松市立仏生山公園もあります。芝生広場が広がる公園は地域の人の憩いの場になっていました。

カフェや温泉など見どころの多い仏生山ですが、町の歴史を見守ってきた古くからのお寺を訪ねてみるのもいいものだなぁと感じました。


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仏生山来迎院法然寺
拝観時間 9:00-16:00(書院・本堂・三仏堂内部)
住所   香川県高松市仏生山町甲3215
電話番号 087-889-0406
拝観料  350円(書院・本堂・三仏堂内部/小学生以下無料)  
※三仏堂内部は撮影禁止
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本格手打ちさぬきうどん 竜雲
営業時間 11:00-15:00(L.O.14:30)
定休日  火曜日・金曜日
住所   香川県高松市仏生山町甲3207-2
電話番号 087-889-1217

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