心ほぐれるのんびり島旅
備讃瀬戸と呼ばれる岡山・香川間の海峡は、流れが速く昔から航行の難所として知られていました。本島を含む塩飽(しわく)諸島の人びとは、その中で腕を磨き船乗りや船大工・宮大工として全国に名を馳せました。そんな匠の技が今も息づく本島。美しい街並みを、part1・part2の2本に分けてご紹介します。
瀬戸内海を眺めながら島の西側を目指しましょう。生ノ浜という浜辺に、ぱっと目を引くかわいらしい建物が見えてきます。
二つ並んだ姿が特徴的なことから「夫婦(めおと)倉」と名付けられたこの蔵。前面のなまこ壁が美しく、丸亀市の文化財にも指定されています。
夫婦倉のすぐ近くには三所神社があります。一見小さな神社ですが、実は塩飽大工の技が残されている貴重な場所。
静かな神社でひととき鑑賞タイムを過ごしたら、ふたたび自転車に乗って泊港に戻りましょう。
上り坂の途中に現れるのが「ゆるぎ岩観音」。ひとつの岩の上にさらに岩が乗っていて、落ちそうで落ちない絶妙なバランス!ベンチもあるので一休みできます。
瀬戸大橋を横目にサイクリングできるのは、本島ならではの楽しみ。色々な船を眺めるだけでも楽しめます。
道中では、本島ならではの風景に出会えます。
島に点在する「鏝絵」プロジェクト。瀬戸内国際芸術祭2013の作品として作られました。このモチーフとなったのが、かつて裕福な家に、左官大工が遊び心で作った鏝絵。
この装飾、実は近隣の他の島でもときどき見かけることができます。
身分制度がはっきりしていた江戸時代に、特別に「人名(大名ではなく、民が治めるという意味)」制度という自治が認められていた塩飽諸島。人名の本拠地でもあった本島には、その名残が残っています。
巨大な石碑にも見えるこちらは、なんとお墓。隆盛を誇った時代の勢いを感じます。こんな大きなお墓を、あちこちで見かけることができますよ。
「笠島まち並み保存地区」に入ると、途端に周辺の雰囲気が変わります。黒い焼き杉の壁に瓦屋根。整然とした美しい街並みは、他に類を見ません。
例えばこちらの欄間。いろいろな形の刀の鍔(つば)が埋め込まれています。
玄関を入ってすぐの額には「無(む)」の字。
ふと目を見やると、手水鉢の足もとに「蛙(かえる)」の形の石。
つまりお客様を「むかえる」という洒落なのだとか!
邸内には豪華な嫁入り道具「掛けふくさ」も当時の姿のまま残されていたそう。
ふすまの向こうには、なんと二階に上がる階段が隠れています!
その理由は…、ぜひ吉田邸を訪ねて確かめてみてくださいね。
美しい形の松は「天に昇る龍のよう」と称されています。
和室に座って庭を眺める時間はなんとも贅沢。
三所神社
住所 香川県丸亀市本島町生ノ浜635
吉田邸
見学の場合、電話にて要予約
住所 香川県丸亀市本島町笠島314マッチョ通り
電話番号 090-8692-1827(吉田)
参考:
■本島汽船株式会社
丸亀港―本島泊港 1,070円(大人・往復)・540円(小人・往復)
■本島レンタサイクル
普通自転車500円70台・電動自転車1,500円6台(7:00-17:50)
予約可(本島汽船代理店・0877-27-3320)