思い出もっと、 とっておき体験
三豊市
香川県の西部では、古くから子供の健やかな成長を願う縁起物として、張り子の虎が飾られてきました。三豊市には昔ながらの方法で張り子の虎を制作している工房が２軒あって、その１軒の「田井民芸」では絵付け体験ができます。自分だけのオリジナル張り子の虎を作りに、三豊市まで行ってきました。
田井民芸へは高松自動車道の三豊鳥坂ICから車で約10分。JRみの駅から徒歩約20分で到着します。工房は道の細い住宅街の中にあるので運転には気をつけて。
工房の入口には張り子が干されていました。天気の良い日はこうして太陽に当てて乾かすのだそう。
絵付けを教えてくれるのは、張り子職人の田井艶子さん。香川県伝統工芸士で、明治初年から続く工房の5代目です。
絵付け体験の前に少し工房を見せていただきました。色塗りを待つ張り子の虎たちが所狭しと置かれています。白い部分に使われているのは、胡粉(ごふん)という貝殻を砕いて作る昔ながらの塗料。これをニカワという接着剤で溶いて塗ります。
奥の部屋では木型に和紙を貼る作業をされていました。張り子はこのように型に紙を貼って乾燥させた後、切り目を入れて型から外し、切った部分を張り合わすという工程で作られます。
貼り付ける和紙を見せてもらうと、達筆な筆文字が書かれていました。江戸時代の古文書で当時の和紙は丈夫で質が良く、張り子に最適なのだそう。
工房の見学が終わったら隣の建物へ。こちらの２階が絵付け体験の会場になっています。部屋の奥には大小様々な張り子の虎が飾られていました。田井民芸の虎はどことなく優しそうで、ユーモラスな表情が特徴。「先代の虎はもうすこし勇ましい顔をしとったんやけど、私が作っとるうちにこうなってしもたんや」と田井さん。
大きなサイズのものは「乗れる虎」。子供はもちろん、小柄な女性なら乗れるほど丈夫です。
こちらは「とらちゃん」（左）と張り子で最小サイズの「豆虎」（画面中央）。今回絵付けするのはこの豆虎です。
こんな躍動感のある張り子の虎もいました。
色を塗らず、古文書をそのまま活かした張り子の虎。虎の模様に見立てた筆跡が独特の雰囲気で、外国人観光客に大人気なのだそう。
さていよいよ絵付け体験の開始です。机の上には真っ白な「豆虎」が用意されていました。
こちらは完成見本の色とりどりの豆虎たち。田井さんから「これは一応見本やけど、特にその通りにせんで、好きなように塗ったらえんで」とアドバイスをいただきました。
彩色に使うのはアクリル絵の具。塗り重ねやすく色彩が鮮やかなのが特徴です。さてどんな色にしましょうか。
しぱらく悩んだ結果、家で飼っている三毛猫を参考にすることにしました。胡粉を塗った張り子の表面はすべすべで、紙の画材に塗っているように色がスムーズに乗ります。
田井さんに励まされながら筆を進めます。
頭もキレイに塗れました。
アクリル絵の具は思ったよりも早めに乾くのですが、乾きが遅い場合は田井さんがドライヤーで乾かしてくれます。
ベースの黄色が塗り終わったので、続いて茶色の部分を塗っていきます。下に塗った色をちゃんと乾かせて、明るい色に濃い色を塗り重ねるのが美しく仕上げるコツなのだそう。
頭にも茶色を塗り塗り。
黒でワンポイントを描き入れました。
全体がほぼ塗り終わりました。
仕上げに顔の細かい部分を塗ります。
白目を描き入れて。
最後に瞳を入れたら完了。
つぶらな瞳にしたつもりが、涙目みたいになってしまいましたが、これも個性ですよね。
絵の具が乾いたら、田井さんがヒゲを取り付ける穴を開けてくれます。
ヒゲは馬の尻尾の毛でできています。四角い布と花柄の刺繍はこの後に使う部品です。
ヒゲの先に木工用ボンドをたっぷり付けて。
田井さんが開けてくれた穴に差し込みます。ボンドは多少はみ出ても、乾くと透明になるので大丈夫。
最後に胴体の金具に首の金具を引っかけます。
胴体の金具が隠れるように、先ほどの四角い布を貼り付けたら完成。布は花柄の刺繍にしてもOKです。
世界にひとつだけの豆虎が完成しました。自分でデザインを考えて仕上げたので、かわいさもひとしおです。
張り子虎の絵付け体験はいかがでしたか。訪れるお客さんが作る豆虎は本当に様々で、どんなものができあがるのか田井さんも毎回楽しみなのだそう。中には複数個塗るお客さんもいるのだとか。ぜひ三豊市まで体験しに行ってみてください。
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田井民芸
※10日前までに要予約
営業時間 9:00-12:00、13:30-17:00
定休日 土曜日・日曜日・祝日
住所 香川県三豊市三野町下高瀬426-6
電話番号 0875-72-4978
https://taimingei.com
体験料 1人1700円(材料費を含む)
所要時間 約90分
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田井民芸
※10日前までに要予約
営業時間 9:00-12:00、13:30-17:00
定休日 土曜日・日曜日・祝日
住所 香川県三豊市三野町下高瀬426-6
電話番号 0875-72-4978
https://taimingei.com
体験料 1人1700円(材料費を含む)
所要時間 約90分
