香川旅帖 特別編 直島町

現代アートに、神秘的な海の景色に。香川は何度でも行きたいと思える場所です

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演出家・脚本家として「東京タンバリン」を主宰し、2017年のさぬき映画祭では玉藻公園披雲閣で公演を行った高井浩子さん。
「現代アートが大好き」と語る高井さんは、さぬき映画祭に参加する以前から香川へ何度も足を運び、アートや瀬戸内の景色に心を奪われてきたといいます。
表現者という視点から、香川県の魅力を存分に語っていただきました。

歴史ある玉藻公園で演劇ができることに、感激しました

―2017年のさぬき映画祭で、「和をモチーフに輪を広げていく」というテーマのもと、企画ユニット「わのわ」で公演をされました。「わのわ」では、スタッフ・出演者とも全員が和服姿。そんな装いでお芝居『お点前ちょうだいいたします』を行われたわけですが、玉藻公園には、どんな印象を持ちましたか?
 
率直に、素敵な場所だな、と。前年の秋に下見で初めて玉藻公園に行ったんですが、公園に入って茶室まで歩く道のりはとても風光明媚でしたね。高松駅から目と鼻の先にあって、アクセスもいいですし。
公演を行った披雲閣の2階も、特別に見せていただいたんですよ。とても素晴らしい眺めでした。
―「着物を着て楽しむお芝居」ということで、お客さんの満足度も高かったんじゃないかと思います。

お芝居のお話は、さぬき映画祭のディレクターをしていた映画監督の本広克行さんからいただいたんです。「香川の人は、みんな着物を着て見に来てくれると思うよ」と。
 普段和服を着られない方、着たいけど機会がないという方にも和服を着てご来場いただけるよう、着物割引も設けました。
結果として、多くの方に着物を着てお越しいただいてうれしかったですね。
それまでも20席ほどの茶室で公演をしたことはあったんですが、さぬき映画祭は80席近くの規模で行いました。
映画祭の参加者の方々もいっぱいお越しいただいて、「こんなところでお芝居を見られるんだ」と喜ばれていましたね。
 

さぬき映画祭には本広克行監督とのご縁で、トントン拍子で参加

― 本企画(インタビューコラム)でも、本広克行さんには登場していただいています。さぬき映画祭には、どのようなご縁で参加されることになったんですか?

本広監督とは、昔、一緒にお芝居を作ってからの仲で、私の公演にもよく来てくださるんですよ。それで『お点前〜』を見ていただいたときに、監督から「さぬき映画祭に出てくれない?」と。そこからはトントン拍子で、上演することが決まりましたね。
 
 ―本広さんといえば、映画祭に来られた方々を“うどんツアー”にお連れしたとお聞きしています。どこか印象に残っているお店はありますか?
 
いろいろと連れて行っていただきましたが…どこも美味しかったです(笑)。
坂出のがもううどんさんには演者のメンバーとも行きましたし、あと、鶴丸さん! あそこのカレーうどんは大好きです。
そのほかにも、小豆島の真砂喜之助製麺所(まさごきのすけせいめんしょ)さんでそうめんを食べたり、いちご狩りにも案内していただいたりしましたね。「女性が多いから、うどん以外も楽しんでもらいたい」ということで。いちご、美味しかったなあ。
本広さんとは瀬戸内国際芸術祭も何度かご一緒させていただいていて、やっぱりいろんなところに連れて行っていただいているんですよ。

香川の現代アートと瀬戸内海の景色は、世界に誇れる特別な存在

―高井さんは、映画祭以外で香川とのご縁は?

私、現代アートが大好きで、演劇の公演などで全国各地を訪れる時には、時間の許す限りその土地の美術館に行きます。イサム・ノグチ庭園美術館や、草間彌生さんや杉本博司さんのファンなので、直島にも。香川県へ見に行きたいとずっと思っていたんです。
 そしたら、本広さんから「地元だから一緒に行ってみる?」とおっしゃっていただいて。香川に初めて来たのは、2008年くらいだったと思います。
 
 ―そのあと、さぬき映画祭に参加されることになるわけですから、ご縁がつながるものですね。

本当にそうですね。豊島美術館や丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に何度か行きましたし、まだまだ見足りないくらいですね。たとえば豊島美術館は秋と冬にしか行ったことがないので、春と夏にも訪れてみたいですね。香川って、現代アート好きとしてはたまらない場所なんです。
そしてそれ以上に、瀬戸内海の景色はどんな美術よりも神秘的できれいだと思います。他のどこにもない風景で、私にとって世界に誇れる特別な存在です。香川には来るたびに感動があり、いつも「美しい」と感じます。
 

和の世界観を表現するうえで、香川県は切っても切れない関係

―ここまでのお話で、東京で暮らしている高井さんと、香川県との結びつきの強さを感じました。
 
結びつきといえば、私がよく使っている着物が、高松にある馬場呉服店さんで仕立てていただいているものなんですよ。
もう10年以上前になりますが、着物の着付けを習い始めたときに、当時の先生が馬場呉服店さんのことを勧めてくれて。東京で出店されていた展示会を訪れてからのお付き合いです。
そうそう。お付き合いがご縁で、さぬき映画祭のときも、公演のチラシを置いてくださったり宣伝してくださったりしていました。呉服店のお客さんも公演に来ていただいていたんじゃないかと思います。本当にありがたいご縁ですよね。
 
―そのほか、ご縁が続いているものはありますか?
 
さぬき映画祭で訪れたときに知った、原ヲビヤ園茶舗(はらをびやえんちゃほ)さん。こちらは、今でも公演のときにお茶を取り寄せさせていただいています。原ヲビヤ園茶舗さんのお茶には、名物かまどさんの和菓子を合わせてお出ししています。
「わのわ」という和をテーマにした企画では、着物にしてもお茶にしても、香川県の存在が近くにありますね。
 
―ぜひ、改めて香川県に公演をしに来てください。
 
機会があれば栗林公園でも和のお芝居をやってみたいですね。映画祭の下見に来たときに栗林公園を回ったんですが、こちらも景観が素晴らしくて。春や秋だったら、お客さんも気持ちよく見ていただけるでしょうし。
【取材後記】
現代アートや着物など、高井さんが表現する世界観に香川県がひと役買っているというのも、うれしいものです。
そんな高井さんが愛してやまない、香川県だけの美や景色を、あなたもぜひ体験しに来てくださいね!
 
 【プロフィール】
高井 浩子(たかい ひろこ)
1995年 劇団東京タンバリンを旗揚げし、劇作家、演出家としての活動を開始。
日本人の心に潜む「光と陰」を日常会話の中にあぶりだしていくオーソドックスな物語を様々な演出方法によって「見せる」演劇として提案していく。
2019年 「お点前ちょうだいいたします」をパリの日本文化会館でも上演し話題となる。
 

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