芸術祭だけじゃない!香川のアート 高松市

芸術祭だけじゃない!香川のアート

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高松空港周辺のアート作品をめぐる
香川県への玄関口のひとつである高松空港。高松市内を見下ろせる高台にあり、周辺には広々とした公園も点在しています。今回はそんな高松空港周辺に点在するアート作品をめぐってみました。

高松空港に到着したら、まず見たいのがこちら。

ターミナルビル1階・国際線の到着ロビーにある作品「Welcome」(作家名:ヴェロニク・ジュマール/2013年)です。
天井から垂れる金色の幕は、一見シンボリックな塔のよう。その作品名の通り、高松に降り立った人々を迎える作品です。かすかな風や人の往来によって幕がそよぐと、反射する風景もゆらゆらと揺れてさらに存在感を放ちます。

「Welcome」を横目にエスカレーターを登ると、2階の国際線出発ロビーに到着します。
空間全体が青みがかっていて、不思議な印象のスペース。

これも実はアート作品のひとつ。

窓全体にフィルムが張られた作品は同じ作家による「Funny Blue」(作家名:ヴェロニク・ジュマール/2013年)という作品。
フィルム表面は雲のようにも見えるモヤモヤとした模様で、フィルムを通して見ると、高松市内の景色もどこか遠い国を見ているように感じます。

フィルムは角度によって色々な色に見えます。
ターミナルビルを外から見ると、ブルーではなく赤や黄色のように見えるのも面白いです。

時間帯によっては、このフィルムを通ったカラフルな陽射しが差し込みます。
「Welcome」の幕に写り込む光や色の変化も、あわせて楽しみたい作品です。

この国際線出発ロビーには、20世紀を代表する家具デザイナー ジョージ・ナカシマのチェアやテーブルが置かれており、出発前・到着後のひとときをゆったりと過ごすことができます。ジョージ・ナカシマの家具を製作しているのは、ナカシマが家具づくりを始めた場所であるアメリカ・ニューホープの工房と、ここ高松市の桜製作所だけです。

金色の垂れ幕とブルーのフィルムが一体となったこちらのスペース。往来の多い空港の中でも、比較的落ち着いているので、アート作品に囲まれながら、名品チェアでゆったりとこれから始まる旅へ思いを馳せてみるのも良さそうです。

続いて、高松空港を出て、すぐ北側にある作品を見に行きました。

アメリカ・ニューヨークを拠点に、晩年は高松市牟礼町にアトリエを構えた彫刻家、イサム・ノグチ(以下ノグチ)による「Time and Space」です。

ノグチは一般的な彫刻の枠にとどまらない、ユニークな芸術活動で知られています。当初は肖像彫刻や舞台美術に携わっていましたが、その後は環境彫刻やランドスケープ・デザインなども手掛けていきました。

第二次世界大戦後は、日本においても陶器作品や、和紙を使った「AKARI」のデザインなどを行いました。その後はアメリカ国内外の各地で、彫刻、モニュメント、環境設計を続けました。

ノグチが晩年にアトリエを置いた高松市牟礼町は、良質な花崗岩である庵治石の産地・庵治町に近く、石を加工する技術や職人集団が数多くいたことで知られています。現在、ノグチのアトリエと住居跡は「イサム・ノグチ庭園美術館」として一般公開されており、世界各国から見学者が訪れています。


日本各地にノグチの代表作が残っていますが、この「Time and Space」もその一つ。
この作品はノグチのパートナーであった高松市の石匠・和泉正敏氏の手によって1989年に完成されました。

遺跡のようにも思える大きな作品は、庵治石の塊を積み重ねたもの。

ぽっこりとした山のようなフォルムには、後方に広がる讃岐平野の山並み・島並みとの連続性を感じます。

高松空港を往来する多くの人を、迎え入れ送り出す、見守り役のような存在です。
その作品名の通り、この石が重ねてきた永い時空の流れを感じながら、しばしゆっくりと鑑賞しました。


続いて向かったのは、高松空港から車で5分のところにある「さぬきこどもの国」。

空港滑走路を間近にのぞむ、親子連れに人気の大型児童館です。

この施設の敷地内にも、ノグチの作品があります。

わくわく児童館から少し離れた東ウィングに広がる広場に、ひときわ目を引く鮮やかな遊具彫刻「オクテトラ」と「プレイキューブ」があります。

「オクテトラ」はギリシャ語の「オクト(8)」と「テトラ(4)」を組み合わせた言葉。大きい八角形面が4つ、小さい三角形面が4つある8面体を組み合わせた遊具彫刻であることから、このように名づけられました。

それぞれの8面体には丸い穴が開いており、中に入ったり、上に登ったりして自由に遊ぶことができます。穴から空を覗き、太陽や月、星、宇宙との対話を楽しんでほしい、というノグチの思いが込められているそう。

プレイキューブは立方体をいくつも組み合わせたような不思議な形。

階段のように登ったり、トンネルのようにくぐったり、ベンチのように座ったり…。想像力がふくらむ、楽しい遊具彫刻です。角度によって色々な表情にも見えます。

ノグチは他にも様々なかたちの遊具彫刻をつくりました。そのいくつかは県内に点在しており、高松市の中央公園や屋島のレクザムフィールド(陸上競技場)、観音寺市の一の宮公園などでも見ることができます。

離発着する航空機を見ながら遊具彫刻に腰かけてみました。
公園を吹き抜ける風や鳥の鳴き声を感じながら身をゆだねていると、
『彫刻は未完成でいい。あとは、風や水、子どもたちが遊びながら完成させればいい。』というノグチの言葉の意味が分かったような気がします。

「地球を彫刻する男」と言われたノグチ。作品を通じて、大地との一体感を感じられたひとときでした。


イサム・ノグチ作品を鑑賞した後は、ふたたび高松空港に戻ってきました。

ターミナルビル2階にあるショップ「四国空市場 YOSORA」では、香川県にゆかりのあるアーティストのグッズに加え、ノグチの手掛けた照明器具「AKARI」やイラストを購入することもできます。

「AKARI」は日本の提灯にヒントを得ながらも、国やシーンを問わずどんな環境にも合う照明として愛されています。和紙で軽やかに包み込んだ灯りは、「Time and space」のような大きな石の作品とは対照的ですが、どちらも心に安らぎを与えてくれるような気がします。

香川県のアート、といえば直島などの瀬戸内海の島々が思い浮かびますが、旅のスタートとなる高松空港周辺にも、空間を生かしたアート作品を楽しむことができました。旅がますます思い出深いものになりそうです。


※参考資料提供:公益財団法人イサム・ノグチ日本財団
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高松空港インフォメーション
営業時間 8:30-21:45(最終便到着まで)
住所   香川県高松市香南町岡1312-7
電話番号 087-814-3355
※航空路線の一部運休に伴い、営業時間を変更する可能性がございます。事前に高松空港ウェブサイトにてご確認の上、ご来店ください。
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さぬきこどもの国
開園時間 9:00-17:00(夏休み7/21~8/31の土曜、日曜、祝・休日及び8/13~16は18:00まで)
休園日  月曜(祝・休日の場合は翌日)・12月30日~1月1日・9月第1月曜~4日間(ただしゴールデンウィーク(4月29日~5月5日)、春休み(3月25日~4月5日)、夏休み(7月21日~8月31日)、冬休み(12月25日~12月29日、1月2日~1月7日)は無休)
住所   香川県高松市香南町由佐3209
電話番号 087-879-0500
入園料  無料(スペースシアター、サイクルセンターは有料)
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四国空市場 YOSORA
営業時間 7:00-20:00
定休日  なし
住所   香川県高松市香南町岡1312-7(高松空港ターミナルビル2階)
電話番号 087-814-3552
※航空路線の一部運休に伴い、営業時間を変更する可能性がございます。事前に高松空港ウェブサイトにてご確認の上、ご来店ください。

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