注目!香川のパワースポット
土庄町
小豆島ならではの絶景めぐり
小豆島観光協会によると小豆島は海岸線長(海に面した島の外回りの長さ)が約120kmあり、島を一周するのに車で約3、4時間かかる意外と大きな島です。さらに島には、小豆島八十八ヶ所霊場があり、独自のお遍路文化を築いてきました。小豆島霊場会によると遍路道は小豆島をぐるりとまわるような行程となっており、すべてお参りしようとすればその総距離は約150km。島内には88ヶ所に番外札所6ヶ所を含めた計94ヶ所の霊場があります。小豆島のこの霊場へは、弘法大師空海が出生国である讃岐(現在の香川県)から京都へ上京、もしくは帰郷する際にしばしば立ち寄り、島の各所で修業や祈念を行なっていたと言われています。自然と一体となった神秘的な場所が点在する小豆島。今回はそんな小豆島ならではのパワースポットを訪ねてみました。
今回の旅は大きなオリーブの王冠が印象的な土庄港から出発。
まずは、レンタサイクルを借ります。土庄港の近くには数社がレンタサイクルを貸し出ししています。今回は坂がきつい場所もあるので電動自転車を借りました。体力に自信がなければ、港近くにレンタカーを借りられる場所もいくつかあります。
まずは土庄港から県道254号線を南西方面へ、自転車で約20分の重岩(かさねいわ)を目指します。海岸沿いを走ることができ、素晴らしい眺めです。
重岩への道を示す看板に従い、少し細い急な坂道を10分ほど登っていくと、重岩への登り口が見えます。
重岩への道を示す看板に従い、少し細い急な坂道を10分ほど登っていくと、重岩への登り口が見えます。
ここからは自転車を停め、歩いて登っていきます。登り口の近くにはお手洗いもありました。
登り口には2本通路があります。足元に彫られた文字を読むと、行きは左側の「出迎え道」から登るようです。帰りは反対側から。
さぁ、階段を登っていきます。階段は舗装されていて登りやすいですが、結構な急傾斜があります。
5分ほど登ると、中継地点へ。すでにいい眺め。途中からは、舗装された階段ではなく、岩の階段を登っていくようになるので、動きやすい服装、歩きやすい靴が必須です。
さらに登って5分〜10分。頂上へ着きました。鳥居をくぐると大きな岩が2つ重なり立っています。とても神秘的な光景。自然に岩が重なり合ったとは信じがたいですが、なぜできたのかはいまだ不明のようです。小豆島にはかつて大坂城築城のために大石が切り出された石切丁場がいくつか残っていますが、重岩のある周辺もその一つでした。そして、重岩は、2019年、「知ってる!? 悠久の時が流れる石の島~海を越え,日本の礎を築いた せとうち備讃諸島~」のストーリーで認定された日本遺産の構成文化財の一つです。
頂上から西側を見た景色。手前に小豊島、奥側に豊島が見えました。左側には男木島、写真では切れていますが女木島も見えました。小豆島は山が海のすぐ近くまでせまってる所が多く、少し登ると広々とした瀬戸内海の景色を見ることができます。じっくり眺めを味わったら、下山して続いては江洞窟(ごうとうくつ)へ。重岩から海岸沿いを南へ、自転車で約20分程です。
途中で江洞窟の方角を指す看板があるので、それに従い進みます。
さらに近づいてくるとまた「江洞窟」の表示が。
引き続き表示の方に進んでいくと、小型の漁船が並ぶ漁港の近くに鳥居らしきものが見えました。
小豆島霊場第60番札所江洞窟に到着。岸壁にお堂がめり込んでいるように見えます。
鳥居をくぐると、海を背景に弘法大師像がありました。
洞窟の中に入ると、階段が。階段を下っていくと、弘法大師が作ったといわれる弁財天の御本尊が祀られるお堂があります。ご本尊は秘仏なので、直接拝覧することはできないそうです。ご真言(「仏の真実の言葉」などの意味)は「オン ソラソバ テイエイ ソワカ」。
庵主の戸梶明さんによると、11月中旬から1月末ぐらいまでの午前8時〜9時の間ぐらいには洞窟の中に朝陽が射し込み光の輪ができるそうです。取材時は季節が違い見ることができませんでしたが、今後時期をあわせて再訪してみようと思います。
あたりを見回すと御本尊の隣になにやら並んでいます。こちらは表示によると、「摩尼車(まにぐるま)」というお守りのようなものだそう。ネパールやチベットの仏教寺院には必ずといってよいほどあるのだとか。くるくるとまわして、家内安全、息災延命、病気平癒、交通安全などを祈ります。
階段を上り地上へ戻ると、岩壁の中に大きな玉石がありました。大日如来を表す梵(ぼん)字の「あ」の字が刻まれています。庵主の戸梶さんによると、玉石はコアストーンという硬い花崗岩で風化しにくいそうです。それに対し周りは砂岩に近い性質の岩のため、月日とともにどんどん削れていき、中からこの丸いコアストーンが出てきたのだとか。
「江洞窟は、空海が『悪魔封じ』を行なっていたところと言われています」と戸梶さん。昔、この地域は漁師が沖合に出たときに、横波を受けて船が転覆し命を落とすことが多かったそうです。「ここの沖合は流れが複雑なんですよね。村人から話を聞いた空海が、事故も必然と受け止めて、たくましく生きて行かなければならないので、悲しみの負の感情を閉じ込めようと『悪魔封じ』を行なったそうです」と戸梶さんは言います。
御本尊が仏教の神様である弁財天で、玉石に刻まれる文字が密教の梵字であることは、戸梶さんによると高野山真言宗密教の大元は大日如来であることだからだそうです。
今回お話を聞かせていただいた庵主の戸梶さんは北海道出身だそう。江洞窟には2009年の改築落慶から在庵されているそうです。途中、4年半程は六甲山に修行に出ていたのだとか。庵主になるまでは国家公務員として勤めたり、経営不振のホテルの再建に関わったり、公認会計士の勉強をしたりと紆余曲折ありながら、その傍らで40年ぐらい神道や仏教の研究をしてきたそうです。「お遍路を通して自分が今まで生きてきたことをじっくりと振り返ることができるんですよ。それが大事なことですよね」と戸梶さん。
お遍路では歩くことや、般若心経を唱えて祈る時間を通じて、現代の生活の中ではなかなか持てない無心の時間を持つことができると感じました。
小豆島霊場会のHPによると小豆島遍路は歩いて約1週間ほど、車では3〜4日ほどで全行程をまわることができるようです。昔のようにまとまった期間でお遍路をすることはどうしても難しいですが、少しずつ巡ってみたいと思いました。
さて、江洞窟の持つ歴史とパワーに触れたところで続いては富丘八幡神社へと向かいます。
高台から見下ろす瀬戸内海と石段が絶景、と最近SNSなどで話題になっているスポットです。
お遍路では歩くことや、般若心経を唱えて祈る時間を通じて、現代の生活の中ではなかなか持てない無心の時間を持つことができると感じました。
小豆島霊場会のHPによると小豆島遍路は歩いて約1週間ほど、車では3〜4日ほどで全行程をまわることができるようです。昔のようにまとまった期間でお遍路をすることはどうしても難しいですが、少しずつ巡ってみたいと思いました。
さて、江洞窟の持つ歴史とパワーに触れたところで続いては富丘八幡神社へと向かいます。
高台から見下ろす瀬戸内海と石段が絶景、と最近SNSなどで話題になっているスポットです。
自転車で北東へ20分程進み、登り口へ。ここへ自転車を停めて長い階段を登っていきます。
絵馬を奉納する絵馬殿が見えてきました。
振り返ると絶景が広がります。正面に見えている小さな島は、「小豆島」と書いて“しょうどしま”ではなく、“あずきじま”と読みます。右奥に見えているのがエンジェルロードでよく知られる大余島です。
さらに階段を上ると本殿に到着。富丘八幡神社には良縁や家内安全の神様が祀られています。宮司の三木さんによると、富丘八幡神社には県指定の弥生時代の古墳群があるそうです。過去に、鉄剣や銅鏡が掘り返されたこともあったのだとか。また、最近はアニメ「からかい上手の高木さん」の聖地のひとつになったことで、アニメのファンが訪れることも増えているそうです。
小豆島にはほかにも主要な神社があります。伊喜末(いぎすえ)八幡神社、池田亀山八幡宮、内海八幡神社、福田葺田(ふきた)八幡神社。これに富丘八幡神社を加えて「五社」と言います。「五社」の由来は、日本書紀に応神天皇が小豆島に御遊幸したとの記載がありその時宿泊した、由緒ある場所に建つ神社です。10月にはそれぞれの神社にある馬場で太鼓台を担ぐ秋祭りが行われます。また、正月には1日でこれらの神社を巡る「五社巡り」をする人も多いです。
豊かな自然に島の歴史、神秘を感じるここだけの景色。忙しない日常から離れて、心をリセットできる時間となりました。まだまだ小豆島にはパワーを感じるたくさんの場所があります。歴史を掘り下げながらまわってみるのもおもしろそうです。
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重岩(かさねいわ)
住所 香川県小豆郡土庄町小瀬
電話番号 0879-62-7004(土庄町商工観光課)
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小豆島霊場第60番札所 江洞窟(ごうとうくつ)
住所 香川県小豆郡土庄町柳
電話番号 0879-62-5211(江洞窟)
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富丘八幡神社
住所 香川県小豆郡土庄町渕崎甲2421
電話番号 0879-62-1538