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同意するなぜ香川には有名な建築が多いのか?
そもそも、なぜ香川に名建築が集まるのか―。その源流をたどる建築トリップへと案内します。
1.著名建築家の建物が多い「建築王国」香川県
なぜ香川には有名な建築物が多いのか?
歴史も楽しみながら、建築をテーマに香川を旅しよう!
建物のみならず、その歴史も楽しみながら建築をめぐるアカデミックな香川旅に出かけてみませんか?
コラム:モダニズム建築とは?
鉄、ガラス、コンクリートなどの工業製品を使い、合理的で機能的な理念に基づく建築様式のこと。それまで主流だった歴史主義(古典主義・ゴシック主義)建築にとって代わり、1920(大正9)年以降、世界共通の新しいスタイルとして急速に広がりました。
2.「アート県かがわ」のはじまり:香川県庁舎東館
戦後の庁舎建築としては全国初となる国の重要文化財
設計を手がけたのは、戦後日本のモダニズム建築を確立し、建築のノーベル賞ともいえるプリツカー賞を日本人で初めて受賞した「世界のタンゲ」こと丹下健三。木造建築を思わせる柱や梁の構造、勾欄(手摺)付きのバルコニーなど、日本の伝統的な意匠が鉄筋コンクリートで巧みに表現され、丹下健三の初期の代表作ともいわれています。
その高い文化的価値から、2022(令和4)年には、戦後の庁舎建築としては全国初となる国の重要文化財に指定されました。建物だけでなく、庁舎内のクローク棚や椅子などの家具類計57点のほか、南庭の石灯篭や太鼓橋などが重要文化財の附(つけたり)に指定。当時の様子を伝える貴重な建物と空間を見学することができます。
コラム:地下にも見どころが!
建物を安全に支えるために、地下には「免震装置」がありますが、これは2019(令和元)年に新設されたもの。歴史的建造物では現行の耐震基準を満たしておらず、耐震化が必要でした。単に美しさだけでなく、人々が安心して利用できるよう、時代にあわせてその形を変えていく様も見どころと言えるでしょう。免震層への立ち入りはできませんが、地下駐車場の窓から免震装置を見ることができます。
見どころ1: 憩い場として開放された「ピロティ」と「南庭」
天井には香川県産の松材の木製ルーバーを、床には小豆島産花崗岩の敷石と庵治沖海底から採取した玉石を使用。これは「資材は許される限り県内産を活用すること」という金子の要望に丹下が応えたもの。型枠技法で木目を浮かび上がらせたコンクリートの柱、丹下デザインの石灯籠など、細部にわたり施された衣装にもぜひ注目ください。
高層棟の南側にある「南庭」は、新たな時代にふさわしい「県民の広場」を目指して丹下研究室によって作庭されました。築山や池を設けた庭には、小豆島産の石で作られた石灯篭や庭石、太鼓橋をレイアウト。作庭家・重森三玲の「日本庭園史大系」に収録されるほど、庭園そのものも高く評価されています。
見どころ2:壁画あり、インテリアあり!見ごたえ満点の「ロビー」
一角にはギャラリーも設けられ、建設当時の様子を紹介した写真パネルをはじめ、丹下が設計した建造物の模型、直筆の図面など、貴重な資料のほか、耐震改修工事時に交換した高層棟バルコニーの手摺の実物展示も!この手摺は、当時の施工技術や施工精度を知ることができる歴史的資料としての価値が高く、重要文化財の附として指定対象の一部になっています。
見どころ3:建設当初の面影を色濃く残す「県庁ホール」
香川県庁舎東館の建設がこの時代に与えた影響
また、クリエーターと地元職人との交流から、県内に新たなデザインも生まれました。石材加工の職人は、香川にアトリエを構える世界的彫刻家・流政之の創作パートナーとなり、家具職人はジョージ・ナカシマの制作を手掛けるようになり、県内の芸術振興や技術力を底上げしていったのです。続いてご紹介する、瀬戸内海歴史民俗資料館の建築家・山本忠司も、その影響を受けた1人でした。
3.風土に根差した建築を体現:瀬戸内海歴史民俗資料館
県庁職員の肩書を持つ異色の建築家・山本忠司設計の建物
設計を手がけたのは、香川県庁職員でもある異色の建築家・山本忠司。県の建築技師として『香川県庁舎東館』や『香川県文化会館』などにも関わり、戦後モダニズム建築の潮流を目の当たりにし、多くの刺激を受けました。と同時に、風土と建築の在り方を追求。のちに仲間とともに発表した瀬戸内海建築憲章では、「瀬戸内海の環境を守り、環境と人間とのかかわりを理解し、媒介として建築を大切にする」と宣言。1973(昭和48)年に建てられた同館は、その理念を体現したものといわれ、自治体職員として史上初の日本建築学会作品賞を受賞。また1998(平成10)年には「公共建築百選」にも選定。瀬戸内海に対する深い思いと建築哲学が込められている建物の魅力を紐解いていきましょう。
見どころ1:石、レンガ、コンクリートの多様な素材の組み合わせ
玄関ホールと展示室の床は、大小のレンガを組み合わせたもので、パターンは山本が考案。レンガは地元の製陶会社に特注し、職人が一枚一枚敷き詰めたそうです。
地元の素材と地元の職人が融合した建物は、こうした背景を知って鑑賞するとより一層見応えがあります。
見どころ2:山の起伏を生かした展示空間
大小さまざまな10もの展示室は中庭をぐるりと囲むように配置され、それらを階段でつなぐことで、まるで大地に根を張ったような独特な造りが生まれています。窓が設けられた展示室はもちろん、時には中庭を抜けて次の展示室へ、時には外階段を上って屋上展望台へと、内と外がつながる仕掛けによって、展示物と景観と建築物の調和を体感できる、こだわり抜かれた観覧体験も楽しみの1つ。
見どころ3: 瀬戸内海の里海文化を伝える貴重な実物資料
瀬戸内海の里海文化、香川の里山文化、企画展の3つのテーマで、瀬戸内海に暮らす人々が実際に使っていた道具などを展示しています。
なかでも目を見張るのが、瀬戸内に春の訪れを告げる鯛網漁の大型船。吹き抜けの大空間でひときわ存在感を放っています。
ほかにも、船大工の造船現場の再現ブースや船大工用具、西日本の背負運搬具コレクション、さらには海ごみなども展示され、自然や環境にもクローズアップ。収蔵資料のうち、5,966点が国の重要有形民俗文化財に指定されています。
4.数々の芸術家が集結した名喫茶:喫茶 城の眼
見どころ1:金子正則やイサム・ノグチといった「アート県かがわ」の立役者が来店
見どころ2:内装から音楽までクリエーターがプロデュース
見どころ3:アートづくしの空間で喫茶タイム
5.新しい建築も必見! 屋島のランドマーク:高松市屋島山上交流拠点施設「やしまーる」
屋島の新しい観光拠点
まず目を見張るのが、その独創的なデザイン。うねうねと緩やかに湾曲した回廊型の建物は、世界的に有名な建築ユニットSANAA出身の建築家・周防貴之によるもので、屋島の地形の起伏に合わせて設計されています。公共施設では初の試みとして、地元特産の庵治石の端材を加工した屋根瓦を3万枚も使用。地域の素材を使用することで一体感や誇りを高め、観光客にも地域の魅力を伝える役割を果たしています。
見どころ1:起伏と曲線がユニークな約200mの回廊
所々にアート作品、周防がデザインしたオリジナルのベンチやスツールも設置され、作品を観賞しながら、休憩しつつ回廊をめぐることができます。
ハイライトは、西側に設けられた展望スペースからの眺望。瀬戸内海の多島美や高松市街地が見渡せます。また夕暮れ時には「日本の夕陽百選」「日本夜景100選」にも選ばれたロケーションが広がります。金曜日・土曜日、祝前日は夜9時までオープンしているので、時間帯を変えて瀬戸内の景観美を堪能ください。
見どころ2: 地域に密着したカフェ&ショップ
またショップには、庵治石の端材を使ったマグネット、オリジナルデザインの野帳や手ぬぐいのほか、屋島オリジナルの香川大学と地元菓子メーカーと共同開発した菓子なども販売。地域に根差した逸品も魅力のひとつです。
見どころ3:国内唯一のパノラマ展示室
周辺にも見どころがたくさん!
2025年オープン!香川県立アリーナ「あなぶきアリーナ香川」
また、交流エリアを設けた新しい発想のアリーナで観客席上部に壁を設けておらず、アリーナとの一体感を確保。イベントが開催されない日には、県民がつどえる場所としても利用されます。