コンクリートの近代建築に和風建築の意匠を導入
打放しのコンクリートでできた柱、その上に渡された梁が、日本の伝統的な木造建築をイメージさせます。型枠に杉材を使用することにより柱、梁のコンクリートには美しい木目模様が写しだされています。建物を取り囲むバルコニーは日光が直接室内に差し込むのを防いでおり、外観の美しさだけでなく、建物の機能性を高めています。
芸術性が高く、開放感に溢れたロビー
1階ロビーは周囲が全面ガラス張りで、明るく開放的な空間。インパクトのある壁画は香川県出身の画家・猪熊弦一郎氏による作品です。受付横に設置された木製のクローク等は丹下研究室で設計し、地元の桜製作所が制作しました。陶製の椅子は信楽焼きです。今でもほぼ全て竣工当時のものが使用されています。
県庁舎の姿が一番よく見える南庭
南庭はピロティ、ロビーと一体となっているため人々が自由に行き来できる広場。作庭家・重森三玲氏の「日本庭園史大系」に収録されるほどの評判が高い庭園として知られています。庭内には地元産の石で作られた「石灯篭」が各所に設置されています。南庭から撮影した県庁舎の写真が世界に紹介されたことによって、丹下健三氏の建築が世界に認められるきっかけとなったと言われています。
地上階を全面開放した空間・ピロティ
高さ約7mの開放的な空間を創出することによって道路側からの自然なアプローチを創り出したピロティ。当初より県民のため広場として設計され、催し物などが開催される広場として利用されています。丹下健三氏によって提案された地上レベルを全面的に開放した斬新なコンセプトは、その後に建てられた庁舎建築のお手本となっています。ピロティに設置された円形の「石灯篭」は丹下氏がデザインしたものです。
竣工当時の空間が今も残る県庁ホール
県庁ホール内の演台、客席は世界的なインダストリアルデザイナーの剣持勇氏によるデザイン。現在も当時のままのものが使用されています。赤色が印象的な入り口の扉には香川漆芸の「後藤塗」を採用。県内の伝統工芸の技術が使われています。1958年の竣工式はここで開催され、香川県出身の歌手・笠置シズ子さんや作家・壺井栄さんなどが出席されました。
眺望抜群!屋上のオープンスペース
当時の金子知事の提案によって、屋上は県民に開放されました。喫茶スペースが設けられ、屋外のベンチでコーヒーやビールが飲める場所として人気。瀬戸内海の素晴らしい景色が望め、県民の憩いの場所として賑わっていました。(現在は屋上には立ち入りできません。)